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切り花の寿命と日持ちが短縮する原因

切り花を長く楽しむため、日持ちが短縮する原因を理解すると有効な対策を立てやすくなります。今回は、切り花の寿命と観賞価値を失う原因について説明いたします。

2023年02月21日
ブルーミー(bloomee) 編集部

切り花の寿命

切り花の種類により日持ちは大きく変わります。ハナショウブなどは一つの花は2日程度しか持ちません。また、ダリアやハナモモなどの日持ちもかなり短い品目です。

それに対して、マムやスターチスのように、10日間を優に超える品目もあります。

切り花の寿命は品目によりある程度決まっています。そのため、切り花の日持ちは遺伝的に決まっている、言い換えると日持ちを決定する遺伝子があることが想定されています。

観賞価値を失う原因

切り花が観賞価値を失う最大の原因は花の老化です。

花の老化のタイプとして、マムやカーネーションのように花弁が萎れて観賞価値を失う品目が多くなっています。
デルフィニウムのように花が落ちて観賞価値を失う品目もあります。
チューリップのように、花弁が落ちる時点で萎れが進みつつある花もあります。
キクやユリなどでは、花が老化する前に葉が黄化して観賞価値を失うことがあります(写真1)。
また、チューリップのように茎が著しく伸び、それが折れて観賞価値を失う品目もあります。

(写真1) キンギョソウ切り花の落花に及ぼすエチレン処理の影響 左:無処理、右:エチレン処理

観賞価値が失う内的な要因として、エチレン、水揚げの悪化、糖質の不足などがあげられます。

エチレンは気体であることから、エチレンガスと呼ばれることもあります。エチレンは植物が成熟・老化する過程で発散されます。

エチレンは花が老化するときだけでなく、リンゴやバナナなどの果物が熟す過程で多量に発散されます。また、車の排気ガスやたばこも発生源になります。

花の種類によりエチレンにより日持ちが短縮する品目は珍しくありません(写真2)。

(写真2)ユリ切り花の葉の黄化

カーネーションやスイートピーなどは特にエチレンに弱い品目です。

このような切り花は通常、生産者の段階でエチレンの作用を抑える品質保持剤で処理してから出荷されています。 しかし、処理が不十分な場合にはエチレンの害を受けやすくなります。

水揚げが悪化すると、切り花は萎れてしまいます。 この大きな原因は生け水に増殖した細菌であることが知られています。細菌が増殖すると、茎の中の水の通路である道管を塞いでしまい、結果として水揚げが阻害されます。

糖質は切り花にとってエネルギー源として非常に重要です。

しかし、切り花は十分に光合成することができません。切り花中に貯蔵されている糖質を呼吸により消費し、それが枯渇すると日持ちが終わることになります。

糖質を主成分とする切り花栄養剤を与えると、切り花の寿命を延ばすことが可能です。

今回は切り花が観賞価値を失う原因について簡単に紹介しました。今後、機会があれば、エチレンや水揚げが悪化する原因についてもう少し詳しく説明したいと思います。