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「スタイル」に迫るインタビュー
家庭で実践できる「お花の日持ちを延ばす」一般的な方法
せっかく購入した切り花であれば、長く楽しみたいと思っている方は多いと思います。今回は、日持ちを延ばす方法について紹介いたします。
お花が届いてから飾るまでに気を付けること
家庭にお花が届いたら、給水材(エコゼリー)を洗い流します。その後で切り戻し、花瓶に生けるようにします。ところで、水中で茎を切る“水切り”を行っている方もみえるかもしれません。
しかし、ほとんどの場合は水切りをしなくても、水は十分に揚がります。
水揚げは切り花を到着後、できるだけ早く行うことが必要です。
水揚げまでの時間が長すぎると、切り花は萎れてしまい、水に生けても萎れからの回復が不可能になることもあります。
お花の置く場所や環境
切り花の日持ちは、花を置く場所や環境条件によって大きく変わります。
温度が高いほど日持ちは短くなります。冬季であれば問題にはなりにくいと思いますが、ストーブのそばなど、温度が高くなりやすい場所は避けたほうが無難です。
温度が低いと、そのままの状態を長く保つことができますが、低すぎると蕾がきれいに開花しにくくなるため、注意が必要です。
別の機会に説明できればと思いますが、エチレンガスにより日持ちが短縮する品目は珍しくありません。
そのため、リンゴやバナナなどの果物だけでなく、石油ストーブやたばこもエチレンガスの発生源になります。エチレン発生源の近くには切り花は置かないことが無難です。
切り花栄養剤の役割
ブーケに添付されている切り花栄養剤の主成分は糖質と抗菌剤です。
植物は光合成を行うことにより、エネルギー源である糖質を自ら合成することができます。しかし、切り花は十分に光合成ができるような明るい環境には置かれません。
結果として、切り花中に貯蔵されている糖質を呼吸により消費し、それが枯渇すると日持ちが終わることになります。切り花栄養剤を与えると、糖質の供給により、蕾をきれいに咲かせることができ、切り花の寿命を延ばすことが可能です(写真1)。
(写真1)バラの日持ちに及ぼす切り花栄養剤の効果 左:水、右:切り花栄養剤
生けた水に細菌が増殖すると、茎の中の水の通路である道管を塞いでしまい、結果として水揚げが阻害されます。抗菌剤により細菌の増殖を阻害し、水揚げを良好に保つことが可能です(写真2)。
(写真2)キンギョソウの日持ちに及ぼす抗菌剤の効果 左:水、右:抗菌剤
切り花栄養剤を使用すれば切り戻しと生け水の交換は原則とて不要となります。
濁ってきたら、切り花栄養剤を含む生け水に交換すればよいでしょう。
ちょっとした工夫で変わること
ハサミや花瓶を洗浄しないと細菌の増殖源になります。ハサミや花瓶は、中性洗剤を用いてよく洗浄することが必要です。 洗浄しにくい形状の花瓶を使用する際には注意が必要です。
以上、日持ちを延ばす方法について簡単に紹介しました。機会がありましたら、温度が高い夏季や低い冬季での取り扱いも紹介したいと思います。